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学会会場に託児所を!

2004/10/10

 最近では女性の科学者医学者の増加に伴い、託児所が設置されている学会がいくつかあります。今年5月に徳島で行われたコングレスの時に開かれたWNA運営委員会で、脳神経外科学会に女性会員が約300名となったので、そろそろ託児所を設置してもいいのではないかという意見が出ました。その後、子供さんのおられる会員の方にアンケートやご意見を伺い、ついに第63回日本脳神経外科学会総会において、会長の吉田純先生のご好意で、脳神経外科学会総会で初めて託児所が設置されました。学会に提出した意見書、および会員からの声のいくつかをご紹介します。

<意見書>
『託児所併設に関する意見書』

 つい先日発表された医師国家試験において女性の合格者がついに3割を超え、今後更に女性医師の数は増加する傾向にあるものと推察されます。それでは、活躍できる女性医師も増加するかと言うとそうでもなく、実際の女性医師は、せっかく医師免許を持っていながら、出産、育児により医師としての仕事あるいは勉強を中断せざるを得ず、場合によっては中断ではなくそのまま辞めざるを得ない状況になることもしばしばあります。
 女性として育児に時間を費やされるのはある一時期のことではありますが、一時期のこととは言え、日進月歩の医学界において、勉強する機会まで無くなってしまっては、いざ復帰しようと思っても復帰困難になることは想像に難くありません。
 先ほどお示ししましたように、今後女性医師は増加し相対的に男性医師は減少して行くのではないかと考えられ、更に、「自分の時間を大切にする」という昨今の風潮から、男性医師でさえも緊急の多い脳神経外科医にはならなくなってきています。そうなりますと、マンパワーとしての女性医師の確保を、今後積極的に考えていく必要があると考えられます。
 現在、日本内科学会、麻酔科学会、糖尿病学会など女性医師の多い学会の学術総会においては、会期中に託児所を設け、小さな子供を持つ医師でも勉強する機会が得られるような配慮をしています。現在脳神経外科女医会の会員数は147名であり、それほど多くはありません。そのうち既婚者は約4分の1で、子供を持つ女医数は更に少ないものと判断されます。しかし、今後様々な環境を整えて行くことで、男性医師と同様に家庭を持ちながらも自分自身の仕事を持って活躍できる女性医師が増えてくれることを、我々女医会としては望んでいます。
 まずはその一環として、脳神経外科学術総会におきまして、託児所の併設をご検討頂けませんでしょうか。ベビーシッター会社との交渉、費用のことなど、関連のことは全て女医会で行う所存で、会長および事務局にご迷惑をおかけすることは致しません。実際の利用者数も未定ですが、会長にご許可戴けましたら募集のアナウンスをする予定にしております。会場内あるいは近辺にその様な施設の設置を行うことをご許可戴きたく、お願い申し上げます。

<会員からの声>
1.「学会会場に託児所を」
WNA会長加藤先生より職場に電話、原稿のご依頼うけた、娘二人(6歳、3歳)を抱え子ども病院で脳神経外科臨床に携わっている者です。学会託児所の設置が検討されるのはありがたい事、当然の要請で遅すぎる位、と思います。
一度だけのの体験ですが、必要にせまられ9ヶ月児をつれスイスまで出かけた折、スイスのハブ空港で驚いた事があります。広い授乳室と、乳児用、妊婦用、障害児者専用の休む部屋が用意されていました。おしめ交換用ベットやミルク用お湯ばかりでなく、広い部屋に本、おもちゃ、遊具があり、24時間3交代で複数の保育士が配置され、多国籍の親子が休んだり、子どもが走り回っても安心して時間をすごせるように工夫されていました。対して国内では国際空港であってもあまりに貧弱、トイレ脇の併設や、片隅にお情けであるような狭い空間です。皆さん一度地元の空港授乳室がどんなか、みてはいかがでしょうか。子どもを育てる公共の取り組みの違いを痛感させられます。一般皆が利用する空港でさえこれほどの違いがある中、学会に託児所、の希望は贅沢と思われるかもしれません。しかしどうか考えてください。
子どもを育てながら時間制約の多い脳外科臨床を続ける会員は日頃相当の苦渋と苦労を日頃負っています。泣く子に後ろ髪をひかれつつ呼び出しに出かける、前からの休日の約束を反故せざるを得ないこと、数しれず。子どもへの負い目を抱えながら、母親も泣きたい気持ちを切り替える。職への義務感と母業をまっとうしたい思いにひきさかれる。孤軍奮闘しても冷たい視線に、何のために働いているのか、と自問する。学会期間は呼び出しもなく、往復の旅行時間は親子が一緒に過ごす貴重な機会です。
もし学会に託児所が併設され、発表の時間だけでも預けられたら演題提出の機会は増えるでしょう。若くこれからの先生方にとって学会でいろいろな先生と出会う、発表する機会はどれほど仕事上力強い助けとなるでしょう。子育てのためにあきらめざるを得ない事が重なると、学会参加を希望する気持ちさえなくなくなってしまうものです。
もともと脳神経外科は全体に対し女医数も、子育て中の会員の数も少ないので今まで検討されなかったのでしょうが、もっと言えば、なぜ女性や母親に限るでしょう。学会参加に同行する子どもたちが親の仕事を理解する機会になるならどんなに良いでしょう。そうはおもいませんか?
母親ばかりでなく父親にも利用される学会託児所を、ぜひ実現していただたい。おねがいします。
  
                    
2.「卒後7年目、出産を控えて・・・」
女医会の皆様、ますますご活躍のことと拝察申し上げます。私も卒後7年目ですが、このたび専門医試験3日前が出産予定日となり、今年の受験は断念せざるを得なくなりました。脳神経外科医として専門医試験をひとつの区切りと考えていましたので、今はまだ『道半ば』といった心境です。まずは出産を無事に終え健康に職場に復帰したうえで、試験勉強を再開することが目下の目標です。
脳神経外科には数々の学会がありますが、試験対策だけでなく、時代にあった水準で医療に携わるための勉強の機会として、今後も学会に参加できればと願っております。女性が出産を経て仕事を続けるためは、自分の健康と家族・職場の理解が必要だといわれ久しいですが、学会の『環境整備』のひとつとして保育システムがあれば、学会の門戸が広がるのではと思います。最後に、今の私の状況を暖かく応援してくださった、教室・職場の先生方、女医会の先生方に大変感謝しています。


3.「託児所設置について」
子連れで学会への参加について考えたのは、正直言って学生の時に遡るかもしれません。というのも、現在の脳神経外科の学会場でとてもじゃないけど子供がいるところを想像するのは難しいからです。私は大学6年の夏にポリクリ実習でmeningiomaの手術の顕微鏡を覗かせて頂いたその瞬間から、脳外科の魅力(魔力?)に惹きつけられ、寝ても覚めてもまぶたを閉じると顕微鏡下で見た脳が浮かんでくるようになり、長年の「何でも診れる general physician」の夢をあっさりと切り捨て、脳外科に入局することに決めました。ただ私の場合、周囲の親戚、友人に一人も医者はおらず、医者になるだけでも未知の世界に踏み込むといった感があったのに、そのうえ脳外科となるとますますほど遠い世界というか、普通の女性としての人生をあきらめないでもいいのか、子供をもっても生涯脳外科医としてやっていけるのかという不安ばかりが募りました。だから、どうしても入局説明会では「産休はとれるのか」、「何年目以降になると出産してもいいのか」という、おそらく相手をがっかりさせる、やる気があるのかと思われてしまう質問ばかりをしてしまったように思います。その時に母校で「出産なんかしていたら遅れてしまうよ」といわれた一言がどうしても耳に残って離れなくて、秋も深まりすでに募集を締め切った大学もある時期にさしかかってから、関西を中心に7大学の脳神経外科の医局に電話で話を聞いたり、勧誘会に呼んでいただいたりしました。ある大学の医局長は「(入局後)何年目になったら出産してもいいなんて、そんなことこっちが決めれるもんじゃないでしょ。だれがそんなこと言ったの?赤ちゃんは授かり物なんだから、いつ生まれても祝福されるべきだ。」と、その時の私にはそんな「世間一般では当たり前」のことを言ってくれる脳外科の男の先生がいらっしゃるんだと、電話口で思わず涙ぐんでしまったこともありました。また別の大学の教授は、その時付き合っていた同級生(今の主人ですが)は外科志望だったのに、二人で一緒に脳外科に入るようにと何度も勧誘の電話を下さいました。「夫婦で一緒の科だと、勤務先も一緒にしてあげれるし、論文の数も倍になるし、学会も発表してない方が子供を見ておけばいいから家族旅行みたいなもので一石二鳥だ。」と。(さすがに学生の私達でもそんなに全てがうまくはいかないだろうと半信半疑で、主人も初心を貫き外科医になりましたが・・・)
 でも実際学会に参加するようになり、会場の外でゆっくりできるのは空気の悪い喫煙所のみといったところも多い中、子供と一緒に参加するなんて現実感がなさすぎて想像することすらできないでいたというのが正直なところです。でも前回の女医会で、子供を預けられないから学会に参加できない先生の話、他の科の学会での懇親会への参加をも考慮に入れた夜 10時までの無料託児所の設置の話を聞いて、女性医師が年々増加する中、脳外科の学会でも積極的に託児所の設置について考えていかなければならないことに気づきました。実際過去にもそういった理由で第一線から退くことを余儀なくされた先生もいらっしゃることでしょう。医師の仕事が生涯教育であるならば、認定医がクレジット制であるならば、やはりそれをできる環境をみんなで整えていかなければならないと思います。自分がその立場になってみないと考えもつかないといったことはよくあるかと思います。以前は「出産なんかしていたら遅れてしまうよ」とおっしゃっていた先生も、実際女性医局員をもち出産をすると、関連病院も夫と一緒に暮らせるよう配慮するほど理解があり、「遅れないよう」な環境を作って下さっていると聞いています。学生の時は自分の一方的な要求ばかりで、分かってもらおうという努力、自分で環境を作っていく努力から逃げてしまっただけなのかもしれません。だからこそ今度は、生涯勉強できる環境作り、学会会場への託児所の設置について、周囲の先生方にも考えて頂けるよう努力したいと思っています。男の同級生に話すと「そんなこと思いもつかなかったわ。」という返事が返ってきましたが、大半の方が同じ意見だと思います。どうか一度子供がいるから学会に参加したくてもできない先生の立場に立って、子供がいても学会参加が可能になる環境作りについて一緒に考えていって下さい。

4.「学会に託児所を」
* 託児所は必要か?
これまで脳神経外科関連の学会や研究会に多数参加してきましたが、とくに託児所についての案内はなかったと思います。私自身が長い間独身でしたし、結婚後も子供がいないことから、正直いって託児所については関心がありませんでした。学会会場に女性の数はまだまだ少ないし、子供を会場の近くで待たせている風景(そんなことは始めから無理なのですが)を見たこともないので、知り合いの女医さんと話していても「この女医さんに子供がいる」という印象すら感じたことはありませんでした。
先日、日本神経学会のセミナーで講演する機会があり、準備のために学会プログラムをパラパラとめくっていると、「託児所あり、希望者は○○日までに事務局に連絡を」という項目をみつけました。「へえ、神経学会って女医さんが多いんだ」くらいにしか思いませんでしたが、その後インターネットで各学会のHPをみてみると、託児所を置いている医学関係の学会は本当に少なく(糖尿病学会、小児学会など)、驚いたことに基礎や自然科学関係の学会に多数掲載されていることでした(天文学会、生物学会など)
実際、日本神経学会の会場で託児所を覗いてみると、保育士さんが2名で、子供さんは5-6名いただけでした。通常の感覚ではとても採算が合わない人数です。でも、ここに子供さんを預けた女医さんの中には、現在あるいは近い将来、学会で重要な発表をしているかもしれません。子供がいるので代わりの人に発表してもらうのでは、その人のキャリアが足踏みすることになります。もし、私が教授で、医局に優秀な子連れの女医さんが数人いて優秀な仕事をしていたら、代わりにレジデントをシンポジストとして行かせるでしょうか?それとも毎回私が代わりに発表に行くでしょうか?ます「お母さんに預かってもらえ」というでしょう。実家が遠い場合は?
また、せっかく専門医試験を通ったのに、なかなか学会に出席できなくてクレジットが取れない女医さんもいるでしょう。人の数倍本を読んで実験をしていても、学会出席のクレジットがないために専門医資格を失うかもしれません。
そう考えると5-6名の子供たちは、託児所で健気にお母さんたちのキャリアアップを支えているのです。まだ言葉もおぼつかない子供たちが支えているのに、私たち女医仲間や周囲の男性方はもう少し支えることができるのではないでしょうか?とくに学会会長をされる先生方には、託児所の子供たちに負けない援助をしていただきたいと思います。
* 女医のためだけなのか?
もう一つ、託児所についてはっと思ったことがあります。ある脳神経外科学会総会で、男性の先生とお話していたら、「カミさんも来れたら三原先生と友達になれたしクレジットも取れるのになあ」と呟かれました。「今回はカミさんを来させようと思ったけど、実家は遠いし俺は発表があるんで留守番には回れなかったんだ」とも言われました。せっかく夫婦で協力し合っておられてもこの状況です。ましてや女医さんの仕事に理解のないご主人では、自分のことで精一杯となるでしょう。
奥さんが女医さんという脳外科医はたくさんいらっしゃることでしょう。奥さんの専門科が何であるにしろ、その学会に託児所があればずいぶん気楽に行かせてあげられるのではないでしょうか?
* 年金問題の前に少子化を防ぐということ
昨今、政治家の年金未払いがどうのこうのと話題になっています。元々複雑な機構なので、年金制度に対して意見があるわけではありませんが、これから自分達の将来を考えると、やはり少子化に歯止めをかけないと日本はだめになるのではないでしょうか。女性の学歴が高くなるにつれ、出産年齢は上がります。当然育児に当たる年齢も上がり、職場では専門職につく人も増えるでしょう。安心して子供を育て、自分のキャリアを伸ばし、世の中に貢献しようと思っているのは女性ばかりではありません。先ほどお話をした男性の先生は最後に「こういう学会で託児所があれば、俺が子供を学会に連れてきて、カミさんを休ませることもできる」とおっしゃいました。
「男女同権」とかいう堅苦しいものではなく、各家庭で男女がいたわり理解しあうのは当然のことだと思います。そのお手伝いを学会会長、少ししてくださいませんか?
* 医学会・医療界は女性を必要としていない?女医会に属しているというと、よく「パートの女医さんを紹介してくれ」と軽く言われます。「どうせ子育てで通常の病院勤務はきちんとできないだろうし、うちは午後からちょこっと来てもらえばいいんだ」とのことです。女医さんは育児期間中は「ちょこっと」手伝うしか能がないのでしょうか?同期の男性と比べてダントツにできる人もいます。わが身を削って、男性と同じ仕事をこなしている人もいます。
しかし、女子学生が40%代となった今、「できる人だけやればいい」という理屈は通らなくなってくるのではないでしょうか。もちろん女医さんの中にも、急に結婚するとか妊娠したとかいう「ドタキャン」をして周囲に迷惑をかける人もいます。しかし、男性の医師でも「急に親が倒れたから開業の手伝いのために辞めます」という人はいるので、男女に限らず自分のライフスケジュールをきちんと立てることが大切だと思い増す。
せっかく勉強して医師になったのです。女医さんの未来に希望を与えてください!


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